現役、地方テレビ番組編集マンのドローマンです。
このブログ記事では、現在進行形でテレビ番組を編集をしている私が
「テレビ番組」と「YouTube動画」の違いを紐解き、
読者の映像編集のステップアップとなるヒントになればと思い、ここに綴ります。
あくまで、「テレビ業界」における動画編集の極意であり、
映像表現は正解がない芸術的な分野の内容なので、参考として読んでいただけたらと思います。
今回綴る内容を説明する前に、
テレビ番組の「キレイな編集」のコツとして、私は以下のカテゴリーをしっかりこなすと
番組制作経験者も納得する映像ができると思います。
・「つなぎ・インサート」
・「音声(BGM・SEなど)」
・「ど頭」
・「テロップ」
・「加工」
聞き慣れない言葉があるかと思いますが、上記の5つのカテゴライズした作業を
「プロが見てもレベルが高いと思われる編集」5部作にして解説していきます。
さて、この記事では、テレビ業界に入った人が必ず通る
基礎中の基本「つなぎ・インサート」について解説していきます。
映像編集のさらなるステップアップを目指している諸君!
未来にも残る映像を作り上げましょう!
ほとんどのYouTube動画は安っぽい編集で溢れてる!?
実は、テレビ番組を制作している側はYouTube動画を下に見ている傾向にあると思います。。
(※みんながみんなそう思っているわけではないです。)
なぜ、そう思われるかというと、
大体のYouTubeの動画は、テレビ業界で言う「安い編集」の映像が多いからです。
「安い編集」とは、「ただ映像をつないでいるだけ、撮った動画をそのまま流してるだけ」ということです。
編集時、基本的には、録画した映像のうち
長い間であったり、映したくないものが映ったりと無駄な部分をカットしていくことが「編集」と呼びがちですが、
それがまさに、「ただ映像をつないでいるだけ、撮った動画をそのまま流してるだけ」なのです。
では、どうすれば上記の「〜だけ」ではない編集になるのでしょうか?
それが「つなぐ・インサート」に隠されています。
まずは、「つなぐ」と「インサート」の説明をしていきましょう。
映像を「つなぐ」とは?
映像を「つなぐ」とは、「カットとカットの画変わりがある」ということ。
もっと簡単に言うと、
「違う映像に切り替わった!」と認識できるように映像を並べるということです。
私が作った動画を例にとると以下のような感じです。
[1.標準となるカット]→[2.アップのカット]→[引いたカット]→…
というように、映像と映像の切り替わりがハッキリと分かる並びにすることを「映像をつなげる」と言います。
テレビ番組を見ると、ほとんどがメリハリのある映像の並び、
つまり、ちゃんと「つないだ」映像になっているはずです。
この説明から察した方もいるかと思いますが、
主に固定カメラで撮影した、大体のYouTuberの動画は、「つないでいない動画」ということになります。
よく部屋の中で商品レビューしているYouTuberの映像で、しゃべりのいらない間を削るだけの編集した動画見ると以下の動画のような、人物がカクカクとした映像になりますね。
映像の変わり目がない動画。
これを業界では「同ポジ(同一ポジション)」の映像と呼ばれています。
「つなぎを意識しない映像=安い・手を抜いた編集」、
何も考えずにできる作業であり、見ごたえも動きもない薄っぺらい動画であるということになります。
このような編集にならないように
番組ロケでは基本的に、メインとなる「カメラマンのカメラ」と、
ディレクターが持つ「小さなカメラ(制作デジとよく呼ばれます)」の2台用意して撮影し、
編集時に映像をうまくつなげられるよう同時に録画していることが一般的です。
どうしてもカメラ1台だけだと、編集時に「映像がつながらない」ことがおきます。
そのためにカメラを2台以上使用して、映像をうまくつなげられる「予備映像」を同時に撮っています。
誰が見ても恥のないような番組を制作するために、撮影時間も人数も作業量もかなりかかっています。
テレビ番組の編集の基本となる「映像をつなぐ」は非常に地味な作業ですが、疎かにできない部分なのです。
しかし、部屋の中で1人で固定カメラ1台を使用して撮影しているYouTuberの方々も多いはず。。
その場合、3つのやり方をすると「うまいつなぎ」ができます。
それは以下の通り。
・「固定カメラ+スマホのカメラ」の2台で撮影 ※どちらかが、アップか引いた映像になるように撮る
・「話のポイントごとにカメラの画角を変える」
・「編集で部分的にカットを拡大して、メリハリをつけたつなぎにする」
この3つを意識するだけで、かなり動きと奥行きのある動画になるはずです。
例として、以下のような映像でしょうか。
もちろん、標準となるカット・アップのカット・引いたカットは順番変えても問題ありません。
メリハリのあるカットのつなぎを意識しましょう!
インサートとは?
「インサート」とは、上記の「つなぐ」にかかせない映像表現です。
まず、「インサート(insert)」の意味を調べると以下のように出ました。
1.差し込むこと。挿入。
2.映画・テレビで、場面と場面との間に手紙・書物などの1ページをクローズアップで挿入すること。
テレビの対談番組の間に回想フィルムを入れたりするのはフィルムインサートという。
(参考「コトバンク」よりhttps://kotobank.jp/)
つまり、「イメージとなる違う場面の映像を差し込む」ということ。
例えば、
「私はドローマンです。今日はバナナのおいしい食べ方を紹介します。」
という、人がセリフ話している映像中に、バナナのイメージ映像を重ねることです。
これは、先ほど説明した「同ポジ」にならないつなぎにできる他、
視聴者に目で伝えられる情報も大きくなるので、とても重要な役割となるテクニックです。
いくら話がうまい人でも、実際に映像を見た方が伝わることは聞くまでもないでしょう。
もちろん、テレビの取材でも必ず撮る映像です。
例えば、あるお店を取材するとき、
店員さんのインタビューを撮った後、もしくはその前に
紹介したいメニューを単体で撮影します。
メニューの他に、お店の外観・内観・調理前の食材など…
インサートとなる映像をしっかりと撮っていきます。
もし、商品レビュー動画を撮る際は、商品のイメージ映像を別撮りしておくと良いでしょう。
その映像を話の内容と合う部分に重ねると、メリハリのある動画になると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「つなぐ」、「インサート」の意味は理解できたでしょうか?
正直、面倒くさいし、視聴者がそんなところまで意識して見ているとは思えないし…
ネットが著しく普及している現代。
誰もが平等に視聴できる動画が残る時代。
残るなら、質の良い、かっこいい映像を残したいですよね。
冒頭でも記しましたが、
あくまで、「テレビ業界」における動画編集の極意であり、
映像表現は正解がない芸術的な分野のなので、これが正しい編集とは断言できません。
「映像」は奥が深いものです。
この記事を読んで、あなたの編集技術や考え方が変わり、良い作品ができればと思います。
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