現役、地方テレビ番組編集マンのドローマンです。
このブログ記事では、現在進行形でテレビ番組を編集をしている私が
「テレビ番組」と「YouTube動画」の違いを紐解き、
読者の映像編集のステップアップとなるヒントになればと思い、ここに綴ります。
あくまで、「テレビ業界」における動画編集の極意であり、
映像表現は正解がない芸術的な分野の内容なので、参考として読んでいただけたらと思います。
#1では、映像編集の基礎中の基礎である「つなぎ・インサート」を解説しました。
YouTubeには「安い編集」が多い。
「つなぎ」を意識するだけで、映像の動き、メリハリつくことを記しています。
テレビ業界で編集業務をする上で1番始めに学ぶ部分なので、YouTubeで動画を上げている方はぜひ#1に目を通してほしいです。
さて、今回は「音声(BGM・SE)」について解説していきます。
BGM(background music)、SE(sound effect)はかなり地味な役割だと思われがちですが、
動画を面白くさせるために非常に重要なものです。
今の編集で悩んでいる方は、「(#1の)つなぎ」と「音声」を意識するだけで、
かなり映像制作の質が上がるでしょう!
ただ時間が過ぎるだけの動画になってませんか?
あながちYouTubeに多い動画のパターンが、いつも決まったBGMをはって、
その曲を動画終わりまでループしているもの。
これでは、面白いシーン、感動するシーン、驚きがあるシーンがどれも視聴者がわからないまま流れてしまいます。
そうならないためにBGMをうまく使ういくつかコツがあります。
1.選曲
編集時、BGMの選曲はかなり重要です。
音楽一つで、見ている映像のイメージがガラッと変わる魔法のようなものです。。
できれば一つの動画に3〜4つ以上あるとテンポ感やメリハリのある、視聴者に伝わりやすい内容になると思います。
この章では4つのテーマに分けて選曲を述べていきます。
❶定番の曲
自分が現在、動画を上げているYouTubeチャンネルのテーマや演者の雰囲気に合った定番の曲を選ぶことはしていることでしょう。
それが、まず一つ。
しかし、某有名YouTuberが使用している曲はなるべく使わない方が良いと思います。
真似というか。。似た動画というか。。
オリジナル感が少し薄れます。
他と極力かぶらない、あのYouTuberはあの曲だよね!と思われるような選曲をするのも戦略のうちです。
❷オープニング・冒頭
二つめは、オープニングや冒頭部分。
動画の趣旨やテーマを紹介するシーンで、視聴者が「お、始まったぞ!」「あ、見てみよう!」とワクワクする気持ちを促す曲です。
定番なのは、明るいアップテンポなBGMでしょうか。楽しそうな空気感が出ている方が良いイメージを持たれるでしょう。
場合によっては、暗めな曲を出だしから使って、注目させる方法もありだと思います。
❸場面展開
三つめは、ボケや驚きなど、シーンの展開となる部分に使うBGM。
曲が変わることにより、「場面が変わったこと」、「動画のここが面白いです!」ということがよく伝わるようになります。
定番曲とはまた違うテイストの曲を使って落差を生むことによって、動画の面白さを引き立てます。
❹エンド
最後に、エンドとなる曲。動画のまとめの話しをしているときなど、最後まで見てくださった視聴者に終わりを予感させます。
動画の内容を振り返り、面白かったシーンを思い出させ、快く終わることができるような曲を選択すると良いでしょう。
定番なものは、落ち着いた曲調の曲。余韻に浸れるような、気分が上がる曲よりも、テンポの低い方が良いと思います。
もちろん、内容によりますが、勢いで終わった方が面白い場合は元気の出るような曲がベストでしょう。
テーマを4つに分けて説明して気づいた方もいると思いますが、
BGMも「起承転結」になっています。
冒頭→定番→面白いシーン→まとめ
この4つを意識して選曲すると、動画の内容のメリハリ、視聴者への伝わり方が変わってくると思います。
選曲のさらなるコツ
選曲において、プラスアルファで教えておきたい事がもう一つ。
それが、「人気のある邦楽を使わない」です。
結婚式やプライベート、イベント用の動画でBGMを加えるとき、人気な日本の曲を入れがちですが、実は良くないパターンが多いです。
なぜかというと、それを見ている人が曲の方に意識がいってしまうから。
映像の内容が全く入ってこなくなるからです。
例えば、動物園のキリンの映像に星野源さんの「恋」を流すとする。キリンよりもBGMの方に意識が傾き、口ずさんでしまうでしょう。(かなり個人の意見になってしまってますが。。)
もはやキリン見ることよりも曲を聴いていた方が楽しくなってしまいそうです。
つまり、皆んなが知っている人気な曲は映像を邪魔する可能性が高いのです。
しかし、歌詞が映像とマッチしている場合は逆に非常に良い場合もあります。
例えば、結婚までの軌跡を辿る映像に、西野カナさんのトリセツを流す。映像と曲が合わさって感動する作品になりそうです。
映像の内容に応じて、曲も合う合わないがあるのです。
では、映像と歌詞が合わせづらいときはどうすればよいでしょうか?
そんな時は、2種類。
1、インスト(インストゥルメンタル:歌詞なしの、曲)
2、洋楽
がとても便利です。
どちらも、曲調だけで合わせることができるので、迷った時はこの2種類を使い分けると良いです。
SEは視聴時間を保つためのホイッスル
Soundeffect=効果音、も重要な役割を担います。
そもそも音が出ていないものにつけられ、ほぼイメージの擬音です。
主に、人の動きやテロップの出し入れの効果音として使われます。
SEの大きな役目として、映像中の見せたい動き、視聴者に「注目させる」にあります。
また、メリハリの部分にも関わります。
SE選択のコツ
SE選びに関して、正直好みとイメージです。
テロップの出し入れ、場面転換など自分の気に入った効果音を入れるが1番望ましいです。
悩んでいる方は、ベタなよくあるSEを入れると良いでしょう。
例えば、テロップの入りで「ポン」
強めのつっこみに太鼓「ドドン」
ボケて「ボヨーン」
視聴者が聞いていて馴染むものを入れると良いです。
SEはどれくらい入れたら良い?
YouTubeに関して、私はできるだけ入れたほうが良いと思っています。
冒頭の挨拶・名前のテロップ・テーマ紹介・商品名のテロップ・重要なコメント・ボケ…と、
話や動画の動きと区切りになる部分は全て入れるべきです。
なぜなら、テンポ感を上げることはもちろんですが、
映像をたくさん見れる環境にいる目のこえた視聴者さんは、
ダラダラと時間の過ぎる動画、すなわち面白くないものはすぐ視聴をやめてしまうからです。
また、いくら面白くても、いくら勉強になるものを伝えてたとしても、
テンポが悪く、伝えたいものが伝わりづらい動画は何を注意して見るべきか分かりません。
SEには、運動会で先生がホイッスルで生徒に次の行動を指示するように、
動画も重要な部分や見どころを効果音で視聴に訴える役目があるのです。
「できるだけ入れる」というと難しいように聞こえますが、
テロップ・ボケ・場面転換…など区切りごとの決まりのSEをストックしていると、気持ちも編集もスムーズになります。
テレビ番組もある程度、テロップの出し方のSEをパターン化して作業効率を上げて制作しています。
そして、強調したい部分だけいつもと違うSEを入れて、特別感と差別化を図ります。
SEもBGM同様、動画には欠かせないアイテムのひとつと言えるでしょう。
まとめ
動画において「音」は視聴者に伝えるメディアとして重要なアイテムであり、奥が深く、意味があるものです。
テレビ番組を作る上でも、BGMの選曲・曲の入るタイミング、消えるタイミング・曲の音量…など全て緻密に構築されているので面白く、電波で全国の視聴者に見せられるようにしています。
映像を見ている人は、編集をしている人の工夫やテクニックが分からないと思います。
しかし、質の良いものは確実に良いし、残るものは良いものを残したいでしょう。
視覚・聴覚を使った最強の娯楽メディアである「映像」をもっと極めて、自分はもちろん視聴者を楽しめられるモノを作りましょう!
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